全日本ロードレース選手権All Japan Road Race Championship

RACE REPORT

Round01

4/04Sat -4/05Sun

鈴鹿サーキット(三重県)

コース全長5.821Km

安定したコンディションの開幕戦

 2019年開幕戦が4月6日・7日に栃木県ツインリンクもてぎで開催された。
 このレースへJSB1000クラスにはMuSASHi RT HARC-PRO. Hondaから水野 涼が、J-GP2クラスには名越哲平が参戦した。

 3月27日、28日に事前テストがツインリンクもてぎで行われ、チームは翌週のレースに向け精力的にテストを行った。
 今回のレースウイークは開幕戦ということから、通常より一日早く木曜日に特別スポーツ走行が設けられ、ここからスタートとなった。朝晩はひと桁台に気温が下がるものの、日中は半袖でも過ごせるほどの暖かさ。天気も安定しており、最高の開幕ウイークとなった。

4/04 Sat 予選 天候:晴れ 路面状況:ドライ

JSB1000

水野 涼

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名越4番手獲得

雨にたたられることの多いスポーツランドSUGOのレースだが、今回は日本上空に記録的な暖気が流れ込んだ影響から連日快晴。しかも真夏並みの暑さとなっていき、ライダーは想定以上に上がっていく路面温度への対応に悩まされることになる。

金曜日のART合同テストでは1本目に水野(JSB1000)が1'28.025で8番手、名越(J-GP2)が1’30.507で2番手となった。午後の2本目では水野(JSB1000)が1'27.248で8番手、名越(J-GP2)は1’31.166で2番手でこの日の走行を終えることとなった。

今回のJSB1000クラスは2レースが行われるため、土曜日は午前中に計時予選があり、午後に第1レースの決勝となる。そのために計時予選では、自己ベストが第1レースの、セカンドベストが第2レースのスターティンググリッドとなる。水野はベストが1'1'26.682で7番手、セカンドベストが1'26.728で6番手となった。それ以外のクラスは予選が行われ、名越(J-GP2)は1'30.358で4番手となった。

4/05 Sun 決勝 天候:晴れ 路面状況:ドライ

JSB1000

水野 涼

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名越2位、水野2レースとも4位

土曜午後のJSB1000クラスレース1は、気温31度、路面温度48度(ともに手元計測)というコンディションの中でスタートが切られた。3列目アウト側からスタートした水野はまずまずの飛び出しを見せたが、アウト側という位置取りのために1コーナーで前を塞がれ、6番手で1コーナーを立ち上がる。水野はここから着実にポジションをアップ。3台での4位争いとなり、14周目にこの集団の中の1台が転倒。一騎打ちとなった4位争いだが、水野はこれをしっかりと制して4位チェッカーとなった。

決勝日は朝9時の時点で気温が既に30度を超え、路面温度は42度。さらにここから上がっていく気配を見せている。朝のウォームアップ走行では水野(JSB1000)5番手、名越(J-GP2)4番手と、決勝へ向けて着実に準備を進める。

チームでこの日最初のレースとなったJ-GP2クラスの決勝は、名越がスタートでうまく飛び出し、3番手で1コーナーに入ると続く2コーナーで2番手へ順位を上げる。そこからさらにトップのマシンを追いかけたいところだったが、後ろに1台のマシンに付かれ、テールtoノーズで2位争いを展開することになる。しかし18周目に、争っていたライバルが転倒。単独走行となり、そのまま2位でゴールした。続くJSB1000クラスの第2レースでは、スタート位置が2列目イン側となった水野がうまく飛び出して2周目に2位に上がり、ライバルであるヤマハファクトリー勢の2台を後ろに従えて2周ほどラップする。ヤマハの2台に抜かれても離されずについて行く水野だったが、中盤になって徐々に離され、さらに後ろから追い付かれ3台での厳しい4位争いになっていくが、最後はこの集団の前でゴールし、第1レースに続く4位となった。

Team Comment

本田重樹総監督

「JSB1000クラスの水野 涼は昨年とは少し異なる取り組み方を行い、それが功を奏して昨年の位置をさらに前に上げることができています。ハード的には昨年、高橋 巧が乗っていたマシンということで、単純に巧の昨年のタイムと比較しても遜色ないレベルで走ることができているのは、大きな成長だと感じています。自己最高位となる4位という位置からさらに上をねらうには、かなり手強いトップ3がそこに立ち塞がるわけですが、今回は特にレース2でその前を序盤走り、その差を経験できたことは今後の涼のレースにとって貴重な経験となるはずです。J-GP2の名越哲平は事前テスト後にMotoGPワイルドカード参戦のため渡欧し、そこから戻ってレースウイーク入りという慌ただしいスケジュールとなりました。事前テストから少しトップから差を付けられていて、最後までそれを覆すことはできませんでしたが、差は詰められたことは哲平の成長の一つに証だと思います。ムジェロのレースをしっかりと戦って、次の筑波のレースに繋げてもらいたいところです。榎戸育寛は事前テストに参加できず、それが最後まで足を引っ張ることになってしまいました。未経験のハードへの対応がまだ十分ではなかったのですが、今回のレースウイークでそのあたりも勉強できたと思うので、得意とする筑波で本来の速さを見せてくれることを期待します。ST600クラスの上原大輝はライディングのリズムを崩してしまい、事前テスト、レースウイークと苦しい戦いを強いられました。レース後に走る機会を持てるので、そこで基本に立ち戻り、本来の走りのリズムを取り戻してくれればと思います。」

堀尾勇治チーフメカニック

「JSB1000クラスの水野はレース毎に成長を見せ、今回のレース2では序盤2位を走り、現状での強力なトップ3の一角に食い込みました。最終的にはそこから離されてしまい、さらに後ろから追い上げてきた集団と4位争いになりましたが、自信溢れる走りでそのグループの先頭でチェッカーを受けたライディングは、今の涼のあのクラスでの位置を証明するものだったと思います。そこから上は本当に手強いですが、決して超えられないものではないと思いますし、第2レースでは後ろで彼らの走りも間近でみることができたので、自分に足りないものがなになのかも学べたはずです。J-GP2クラスの名越は、SUGOのコースに対して自分の持っているハード、ライディングで少し厳しい部分があり、事前テストからレースウイーク通してそれを詰める作業になりました。ワイルドカード参戦のためのテストも間に挟んだりして慌ただしくなりましたが、貴重な経験ができるチャンスなのでそれをしっかり今後に生かしてほしいところです。榎戸は事前テストができなかったことから、その時間がライバルとの差になってしまいました。とは言え、今回のレースウイークである程度走行時間を稼ぐことができたので、今後が楽しみです。ST600クラスの上原はなかなか苦しい戦いが続き、回りもなんとかそこから脱却できるようサポートしているのですが、出口が見えてきません。このレース後にテストする機会を作れたので、そこでいろいろトライして本来の走りのリズムを取り戻してほしいところです。」

水野 涼

「今年の仕様のバイクに乗り始めたのは、もてぎの事前テストからです。これまでの乗り方ではうまく走らせられないので、とにかく自分のできることをやろうと、そのことに集中しました。レースウイークに入って木、金とセットアップがうまくいかず、金曜日の2本目でテストの状態に戻したらすぐタイムアップしたので、そこがちょっともったいなかったです。両レースとも6位入賞と、最低限の結果は残せたかなと思います。トップ3はちょっと抜きん出ていて今すぐに追い付くのは難しいですが、目の前の4位、5位争いは、タイムを見ても差はありませんし、まずはそこに加わっていきたいと思います。」